代謝・免疫・認知
主要評価変数として扱う指標群
ヒト適用試験の成否は、多くの場合、主要評価変数を何にしたかで分かれます。このページでは、研究所が主に扱う3つの指標群と、各指標群で設計時に考慮する事項を整理します。
血糖・脂質・体組成
- 血糖関連 — 空腹時血糖、HbA1c、インスリン、HOMA-IR、経口糖負荷後の反応
- 脂質関連 — 総コレステロール、LDL-C、HDL-C、中性脂肪、遊離脂肪酸
- 体組成 — 体重、体脂肪率、腹囲
研究責任者の先行研究では、発酵紅参の遊離脂肪酸調節作用がホルモンおよび自律神経系を介して現れると報告されており(Lee & Ji, 2014a)、糖代謝の改善とホルモン相互作用は多群経路分析により検定されています(Lee et al., 2013)。
代謝指標は食事・活動・季節の影響を大きく受けます。基礎状態の安定化期間(run-in)、食事記録の収集、測定時刻の固定を、必ず設計に含める必要があります。
免疫に関する評価
- 血中免疫細胞の分布および活性の指標
- サイトカインのプロファイル
- 感染罹患に関する自己申告の指標(罹患日数、症状スコア)
免疫指標は個人差と日内変動が大きく、健康な成人では変化の幅が小さくなります。したがってサンプルサイズの算出には、先行資料に基づく保守的な効果量の仮定が必要です。
免疫に関する記述では「免疫力を高める」といった断定的な表現を避け、測定された指標と変化の方向をそのまま記述します。表示・広告審査基準に抵触しないよう、文書化の段階で表現を併せて確認します。
認知機能および気分の状態
- 認知 — 注意、作業記憶、処理速度などの標準化された検査バッテリー
- 気分 — 妥当性が確認された抑うつ・不安・ストレスの尺度
- 睡眠 — 睡眠の質に関する標準的な質問票および活動量計に基づく指標
先行研究では、発酵紅参の摂取後に観察された抑うつ指標の変化が、脂質の変化を介するものとして解析されました(Lee & Ji, 2014b)。このように心理指標と生化学指標を併せて測定すると、結果の解釈可能性が大きく高まります。
認知・気分の指標はプラセボ反応がとりわけ大きくなります。プラセボ対照と二重盲検が事実上必須であり、学習効果を考慮した検査時点の配置が必要です。
媒介経路を併せて見る設計
結果変数のみを測定した研究は「変わった」という事実は示しますが、「なぜ」は説明できません。媒介変数を併せて測定しておけば経路分析により仮説を検定でき、結果が期待と異なるときにもその理由を説明できます。
ホルモン経路
インスリン、コルチゾール、甲状腺ホルモンなど代謝調節ホルモンを媒介変数として配置します。
自律神経経路
心拍変動(HRV)など自律神経のバランスを示す指標を併せて測定します。
脂質経路
脂質の変化が他の指標の変化の媒介となるかを、経路モデルにより検定します。
この設計は測定項目が増えるため費用が高くなります。ただし論文化を目標とする場合、経路が併せて示された結果は掲載の可能性が明らかに高まります。
参考文献
- Lee, K. J., Lee, S. Y., & Ji, G. E. (2013). Diabetes-ameliorating effects of fermented red ginseng and causal effects on hormonal interactions: Testing the hypothesis by multiple group path analysis. Journal of Medicinal Food, 16(5), 383–395. https://doi.org/10.1089/jmf.2012.2583
- Lee, K. J., & Ji, G. E. (2014a). Free-fatty-acid-regulating effects of fermented red ginseng are mediated by hormones and by the autonomic nervous system. Journal of Ginseng Research, 38(2), 97–105. https://doi.org/10.1016/j.jgr.2013.12.003
- Lee, K. J., & Ji, G. E. (2014b). The effect of fermented red ginseng on depression is mediated by lipids. Nutritional Neuroscience, 17(1), 7–15. https://doi.org/10.1179/1476830513Y.0000000059